寛大な判決は検察の求刑を下げるの法則

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本日も良く働きました。
しかし私以上に働いているかもしれないのは、APEC警備の警察官。
いよいよ明日からが警備の佳境のようです。
今朝も警察の車(パトカーだけでなく、護送車?やら何やら)がわんさか疾走していて、ちょっと「西部警察」っぽい画でした。
ただ数日前に行った限りでは、みなとみらいにいる警察官の数は思ったより少なかったですね。
毎年8月1日の神奈川新聞花火大会のときの交通整理の警察官の数の方が多いじゃん!って印象でした。
まあ、道路を歩いている人の数がまるで違うわけですから、当たり前といえば当たり前なんでしょうけど。
さてさて、11月1日に東京地裁で無期懲役判決が下された、耳かき店店員女性と祖母が殺害された裁判員裁判事件。
何と検察側が控訴を断念するそうです。
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耳かき店員殺害 控訴断念を遺族に説明 東京地検
毎日新聞 11月12日(金)23時51分配信
 耳かきエステ店員の江尻美保さん(当時21歳)ら2人が殺害された事件で、殺人罪などに問われた無職、林貢二(こうじ)被告(42)を無期懲役とした東京地裁判決(1日)について、裁判員裁判で初めて死刑を求刑した東京地検は12日、控訴しないと発表した。弁護側も控訴しない方針を決めており、控訴期限(15日)経過後に無期懲役が確定する。
 遺族関係者らによると、地検は遺族側に裁判員裁判の控訴審では原則として新証拠を提出できない点などを説明し、「上級庁と協議し、控訴審で判決を是正することは難しいとの結論に達した」と伝えたという。
 判決は、被告はうつ状態で思い悩んで事件を起こした▽江尻さんの祖母の鈴木芳江さん(当時78歳)殺害は計画性がない--などとして「極刑がやむを得ないとまでは言えない」と指摘し、死刑を回避した。
 金目当てなどの事件でないうえ、被告は前科がなく反省していることから、裁判官や弁護士の間では「判例上は無期懲役が相当」との見方が強い。判決理由から裁判員らが納得して出した結論であることがうかがわれ、検察内でも控訴審で死刑判決を得ることは難しいとの声が大勢を占めたとみられる。
 判決によると、林被告は昨年8月3日、江尻さん宅で鈴木さん、江尻さんをナイフで刺して殺害した。
 鈴木さんの長男(57)は毎日新聞の取材に対し「検察が法に基づいて判断したこと。受け入れざるをえないが、納得していない。被告を死刑にできず、正義は死んだ」と怒りを隠せない様子で語った。江尻さんの父親(57)は弁護士を通じ「非常に残念。被告には一生刑務所に入っていてほしい」とコメントした。【伊藤直孝】
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何か、検察もずいぶん物分りが良くなったというか、ずいぶんおとなしくなっちゃった感じですね。
我々が司法修習していた頃に触れ合った上席の検察官の方々は、男女を問わずバリバリ体育会系&肉食系というイメージでしたが、何とも文科系化・草食化したなぁという印象です。
我々が司法修習生だった頃なら、「無期懲役は不満だけど、控訴しても判決は変わらないから控訴しない」なんてヤワな発想では、検察官に任官することはまずできなかったんじゃないでしょうかね。
最近の一連の検察不祥事は影響していないだろうと思いますけど。
弁護士の立場からすると、寛大な判決を得ることは、唯一絶対というわけではありませんが、非常に重要な目標の一つです。
しかし、検察の立場からすると、自分の求刑よりも量刑が軽い判決を下されてしまうことは、極めてゆゆしき問題です。
いうなれば、「裁判所を説得できなかった」あるいは「弁護士に負けた」ということだからです。
実は、寛大な判決が続くと、長期的には検察官の求刑は下がってしまうのです。
例えば、とある刑事事件で検察官が「懲役7年」と求刑したのに、判決は「懲役5年」だったとします。
すると、また同種罪名&被害状況の事件が起こった場合、検察官の求刑は「6年」あるいは「5年」などに下がる可能性が高いのです。
7年求刑を5年にされるくらいなら、6年求刑を5年にしてもらうか、あるいは5年求刑でちょうど5年にしてもらった方が「負け」感は低いですよね。
ところが仮に検察官が「6年」と求刑したとして、判決が「5年」とは限りません。
「6年」求刑なら、量刑を下げて、例えば「4年」という判決もありうるわけです。
そしてもし4年の判決が趨勢になると、今度は検察が求刑を「6年」から「5年」ないし「4年」に切り下げる危険は大いにありえるわけです。
こうして、どんどん検察官の求刑が下がって行ってしまうという現象が起こるのです。
突然検察官の求刑を上げるのも、なかなか難しいのですよ。
裁判所の判決基準が低い量刑にとどまっていると、重い求刑をした場合に目立ちすぎてしまうかもしれませんしね。
どんどん悪いことをしても罰せられない国になっていくのかなぁ。なんて緩い&軽薄な。
みんな物分りの良い「常識人」ばっかりだと、どんどん緩い&軽薄な方向へ流れて行ってしまいそうですよね。
大人の男なんて、ある意味物分りが悪いくらいでもいいと思うんですが。
ではまた。