裁判員裁判が始まりました
昨日から東京地裁で、裁判員裁判の第1号が始まりました。
今年5月に足立区内で隣人女性(66歳)を殺害した罪に問われている男性(72歳)が被告人だそうです。
裁判長の秋葉康弘裁判官は、私が10余年前に東京地裁で司法修習(刑事裁判修習)していたときの担当部の右陪席だった方で、非常にシャープで、バランス感覚もある方です。
第1号を扱うにはうってつけの方じゃないかと思います。
しかしニュースによると、裁判員6名のうち5名が女性だというじゃありませんか。
なんでこういう選び方になったんでしょうかね?
やはり候補者の男性は時間がない等で続々と辞退し、結局女性が残ってしまったと言うことなのでしょうか。
弁護人の方も閉廷後にインタビューに答えてましたが、女性が被害者でもあり、明らかに量刑がキツイ方にいきそうな気がしてしまいますよね。
被告人にとってそれほど良い情状もなさそうな印象なので、今までの量刑相場(あまりこの言葉は好きではありませんが、業界用語です)から行けば、懲役7~10年くらいの間かなという気がしますが、もっとキツイ刑になってしまうのかな?
本物の裁判員裁判、機会があれば傍聴してみたいですが、まあ当分は無理でしょうね。
ここ1~2年くらい、裁判所では密やかに傍聴ブームが起こっているようで、ホントに面白みのないごくありふれた刑事事件でも、傍聴席が傍聴人でぎっしりということがよくありました。
まして裁判員裁判となれば、当分はマスコミやら何やらの方々で賑わうのでしょうね。
私が昔刑事弁護人を努めた刑事事件で、どうしても忘れられない事件があります。
あまり細かくは言えないのですが、高速道路上の交通事故(双方の車両は当たっていない)で、当方は真っ向から過失を否認して無罪を主張したのですが、結果的には有罪(しかも予想より遙かに重い実刑)判決が下されてしまったのです。
あの事件がもし裁判員裁判で裁かれていたら、もしかすると被告人は無罪となっていたのではないか、少なくとも実刑を食らうことはなかったのではないかと、つい思ってしまう自分がいます。
というのは、一審で有罪・実刑判決を下した裁判官が、自動車免許を持っていない裁判官だったからです。
この裁判官に変わる前の裁判官は、当方の無罪主張に対して非常に積極的に思えました。しかし、この裁判官が結審方向に持っていこうとしても、検察がダラダラ立証を引き延ばして期日を何度も空転させ、数か月が浪費されました。
で、あと少しで結審と言うときに、この自動車免許を持っていない裁判官が、あろうことか交通事故部の裁判官として赴任してきて、さっさと有罪判決を書いてしまったのです。
その裁判官が自動車免許を持っていないことは、裁判所関係者との世間話でたまたま知ったのですが、そのときは衝撃でした。
そんな素人に、これほど難解な交通事故事案が判断できるのかと。
結局「検察官様の言うとおり」という、本当に杜撰な判決でした。
自動車免許も持っていない裁判官になど、交通事故裁判を裁いてほしくない。
これだけは、今でも痛切に思います。
ではまた。