オフェンス型弁護士・戦う弁護士
今年はよく「安富先生はオフェンス型弁護士ですよね」とか「戦う弁護士ですよね」というコメントを、いろんな場面で耳にしました。
前からポツポツ言われてはいましたが、今年は特に結構皆様から言われた印象です。
暮れの頃にはとある同年輩の弁護士(横浜弁護士会)にも言われた(=正確にはとある依頼者づてに聞いた)ので、きっと私は周りからそう見えているのでしょう。
確かに、被告側でディフェンスに奔走するよりは、原告側で攻める方が好きです。
被告代理人の事案なのに、ついそれを忘れて、書面上の自分の標記を「原告訴訟代理人」と書いてしまったり、依頼者を「原告」と書いてしまったり、証拠を「甲第●号証」として提出してしまったり(被告側は「乙第●号証」とするルールです)、そんなことはよくあります。
被告側の代理人になったとしても、そのまま判決に至るよりも、請求すべきものがあって反訴を出してから判決を迎える方が好きです。
被告側って、結局降りかかった火の粉を払うだけなので、請求棄却判決をもらっても、あまりそのありがたみが感じられなかったりもしますしね(訴訟の構造上仕方ないと思いますが。もっとも、くだらない訴訟であっても、請求棄却判決をとるまでは結構大変なんですけどね)。
だから、私としては、「オフェンス型弁護士」「戦う弁護士」と言われることは、大変ありがたいことです。
ただ、私は、もしかしてこの現象は、「世の中には『戦わない』もしくは『戦えない』弁護士が増えている」ということの裏返しなのかもしれないな、とも思いました。
そういう「ディフェンス型弁護士」「戦わない弁護士」との対比で、私が「オフェンス型弁護士」「戦う弁護士」と評価されることが増えてきた、という側面もあるのかな、ということです。
もし私の読みどおりだとすると、それはそれで大問題ですよね。
だって、戦わない弁護士なんて、全然依頼者の方にとっての盾にならないじゃないですか。
「攻撃は最大の防御なり」と言います。
法律のプロである相手代理人弁護士の仕掛けてくる攻撃に対しては、ただ逃げるだけでは全然足りないことがほとんどのはずです(稀にただ逃げるだけでもOKの場合もありますけど)。
被告側だって全力で戦わなければ普通は勝ちきれないはずなのです。
このところ、結構セカンドオピニオンを求められることも増えています。
もちろん私がみても、ご相談者の代理人弁護士がやっていることがおかしいということはそう多くはないのです(※どうしようもない場合もありますけどね)。
しかし、そういうセカンドオピニオン依頼の根底には、大抵現在依頼している弁護士への不満・不信があります。
その不満や不信の源を探ると、「弁護士が自分を全力で守ってくれているように感じない」ということをおっしゃる方が多いように思います。
近年は肉食系男子が減って草食系男子ばかり、みたいな話も聞きます。
しかし、弁護士は、行くべきときはガツガツ行く、超肉食系でなくてはならないだろうと思います。
言ってみれば弁護士は、緊急時の傭兵なんですから。
戦えない傭兵なんて粗大ゴミ以下ですよね。
というわけで、来年も戦い続けます(笑)。
ではまた。