昨今の弁護士事情

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またまた大変ご無沙汰してしまいました。
「●●●日連続更新」みたいな単なる書き散らしではなく、テーマを絞って弁護士らしい内容のあるブログを書こうと思うと結構難しいものでして。
お仕事に没頭しているとなかなか時間もなくてですね。
…言い訳ばかりで申し訳ございません。
実際本日も、とある会合の予定をキャンセルしてまで起案(=書面作成)の真っ最中なのですが、どうしても一言言及しておきたい記事が目に止まってしまいました。
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「3千人」合格目標を撤廃=司法試験見直しへ報告―政府検討会議
時事通信 6月19日(水)13時39分配信
 政府の「法曹養成制度検討会議」(座長・佐々木毅元学習院大教授)が19日、法務省で開かれ、司法試験や法科大学院の在り方の見直しに向けた最終報告を取りまとめた。司法試験合格者数を年間3000人程度とする政府目標を撤廃し、教育成果の乏しい法科大学院に定員削減や統廃合を促すことなどが柱。近く開催予定の「法曹養成制度関係閣僚会議」(議長・菅義偉官房長官)に報告される。
 政府は2002年、司法試験合格者数の目標を「10年ごろに年間3000人程度」と閣議決定したが、実際の合格者数は目標にとどかず、最終報告は「現実性を欠く」と指摘。法曹人口に関しては、具体的な提言のために必要な調査を「新たな検討体制」の下で行い、「結果を2年以内に公表する」とした。当初は「2年以内を目途に結論を得る」としていたが、年限のハードルを下げた形だ。
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つまり、法科大学院(ロースクール)入学を基本的大前提とした現行の司法試験制度には問題があるから見直す、ということですね。
いずれこうなるだろうとは思っていましたが、上記記事の書きぶりからすると、私が思っていたより随分早く見直すことにするのかな、という印象です。
換言すれば、そのくらい現状の制度の抱える問題は深刻、ということかもしれません。
制度自体の抱える問題点については、いろんな記事があると思います。
ですので、それらを参照して頂ければ良く、ここで私が重複してまとめる必要もないでしょう。
また、私も現行制度を見直す必要性があること自体には賛成です。
それでも私がつい考えてしまうのは、
「じゃあ、問題があると言われてしまった現行司法試験制度を前提として合格した現役弁護士(※実害はないと思われる裁判官と検察官は除く)及び司法修習生は、今後一体どうしたらいいの?」
「既に合格した人はまだマシかもしれないけど、現在司法試験を頑張っている方々やロースクールでお勉強中の方々は、今後一体どうしたらいいの?」
ということです。
弁護士は自分の依頼者や自分の考えをまとめるだけでなく、相手や相手代理人の考えについても推定を働かせ(かつ相手らの弱点を見いださ)なければならないので、その習性なのだろうと思います。
現行制度を前提として合格した現役弁護士の方々からすれば、これは公的に全体としてダメ出しされてしまったようなもので、非常にキツイと思います。
もちろんどんな時代でもどんな試験でも合格する上位合格の方々もいらっしゃるのですが、世間的には十把一絡げでしょう。
この数年間が公的に黒歴史と認定され、この数年間で登録した弁護士はみな足かせをはめられてしまった、と言っても良いかも知れません。
ひどい話です。
司法修習生も、既に就職が決まっている人はまだ良いでしょうが、現在就職活動中の方(相当多いと思います)にとっては特に、強烈すぎる逆風ではないかと思います。
どう考えても就職活動に対する追い風になるとは思えません。
また、「あと何年か待っていればもっと優秀なのが入ってくる」というような思想から、各弁護士事務所が新人の採用を差し控えてしまうかも知れません。
(※ちなみに当事務所は12月に資格を得られる予定の66期弁護士1名を採用予定です)
現在勉強をしている方々にとっても、あまりに酷な通告ではないでしょうか。
いかに昔よりも容易になっているとはいえ、司法試験の勉強を続けるには、相当な集中力と不屈の精神が必要です。
しかし、現行試験を通ってもほとんど評価されないばかりか、かえって将来に渡る足かせになってしまう危険性もあるとなれば、そんなに集中力が続くとは思えません。
今現在一生懸命頑張っているその対象の価値を公的に否定されるって、あまりに辛すぎると思います。
新人弁護士や司法修習生を、どうか色メガネで見ないであげて下さい。
彼らにもどうしようもないところでどんどん話が動いているのであって、彼らは翻弄されっぱなしなのですから。
むしろ彼らも、紛れもなく被害者なのですから。
ではまた。