初の死刑求刑に対する裁判員の判断

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スーパーマニアックな起案に奔走し、気がつけばもうこの時間。
これから年末までこんな感じで過ぎていくのが、毎年の恒例です。
やっぱり弁護士って、何よりも体力勝負な仕事なのですよ。
体力ない弁護士は、いい仕事を数こなすことなんてできません。
さてさて、数日前にブログで取り上げましたが、耳かき店店員だった女性とその祖母を殺害した被告人に対して検察官が死刑を求刑した裁判員裁判。
無期懲役の判決が下されました。
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「公正に判断」「頭悩ませた」=負担感も、判決に納得―初の死刑求刑事件で裁判員
時事通信 11月1日(月)20時50分配信
 林貢二被告(42)への判決言い渡し後、東京地裁内で記者会見に応じた裁判員と補充裁判員の経験者6人は「公正な判断に気を付けた」「思った考えは出し切った」と述べ、納得して判決を出したことをうかがわせた。一方、「重い事件にずっと頭を悩ませた」「遺族の陳述に涙が出た」と、精神的な負担の大きさも口にした。
 検察が死刑求刑した瞬間について、裁判員だった1人は「極刑が求刑されると想定していたが、分かっていても動揺した」と話した。30代の男性会社員は「検察の意見を聞いた時は死刑相当だなと思った」という。
 裁判では遺族も繰り返し死刑を求めた。補充裁判員だった1人は「一人ひとりが遺族の身になろうと努力した」と説明。裁判員を務めた30代女性は「自分の家族がそうなったような感情にもなった」と振り返った半面、「気持ちが高ぶったが、ほかの皆さんの意見を聞いて公正な判断をしようと思った」と語った。
 裁判員らは法廷での林被告の態度にも注目。「当初は身勝手なことを言っていたが、遺族や検察官の話を聞くうちにだんだん変わっていった」「判決ではかすかにうなずいていた。内省が深まっていったのではないか」と感想を述べた。 
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私はこの裁判を傍聴したわけでもありませんし、裁判記録を読んだわけでもなく、報道レベルの知識に留まりますから、量刑に関する個人的意見は差し控えます。
まあ、これまでの文脈からバレバレかもですが。
ただ一つ言えることは、やはりどのような事件であれ、一人の人間に死刑を言い渡すことは、想像を絶する重圧を伴うということ。
裁判員の皆様は、それをまざまざと体験したのではないでしょうか。
外野からワイワイいうのは簡単でしょうが、いざ自分の判断が一人の人間の人生を絶つと考えると、普通の人間であれば、少なからず躊躇を覚えても致し方ないのではないでしょうか。
換言すれば、やはり職業裁判官の職責は重いといえますよね。
本件も、職業裁判官だけでの審理であれば、結論が変わっていたかもしれませんよね。
職業裁判官も、一般的には、軽微な案件であれば被告人の反省を汲んでくれますが、これほど結果が重い事件であれば、被告人の反省をそれほど汲まないように思うんですよね。
「犯行が計画的でない」というのも、一般的には軽微な案件限定の良い情状要素に留まる気がしますし。
本件は、おそらく検察から控訴されるように思います。
もし高裁になれば、裁判員ではなく、職業裁判官3名による裁判体が審理することになります。
それでもなお判決が維持されるのか、それとも一審判決が破棄されて別の判決が出るのか、つい注目してしまいそうです。
しかし、変な話かもですが、刑事裁判で正面から人間の命のことを考えるのって、やはり死刑があればこそという気がしますね。
例えば単純に刑期が積み重なって懲役200年になるというような裁判だと、あまり命の重みを正面から考えないように思うんですよね。
単純に足し算引き算の問題になるだけのような気がして。
命の重みをかみしめるためにも、また命が簡単に奪われることを抑止するためにも、やはり死刑は存置すべきだと思います。
少なくとも、死刑をなくすことに合理性はないと思います。
あと、全く関係ありませんが、常習的性犯罪者(男性)については、その情報を警察が把握するとかいうまどろっこしい話じゃなくて、いっそ男性自身をちょん切っちゃう刑を導入すればよいのではないでしょうかね。
確実に再犯可能性はなくなりますし、抑止効果も絶大じゃないでしょうか。
弁護士も、常習的性犯罪者の事件をみるたびうんざりするのです。
弁護士も、かわいそうな被害者の方を目のあたりにするたび本当にいたたまれないですし、目の前のバカ野郎に対する怒りに震えて、本気で正義の鉄槌を下してやりたくなるのです。
でも、弁護士は、当番弁護でそんな事件を引いてしまったりしてそんなバカ野郎の刑事弁護人になっちゃったら、そのクズを弁護しなくちゃならないわけで、被害者の方に示談の申し入れとかを試みるわけですよ。
数年前やたらにそんな立場に立たされることがあり、ふと、やはり常習者についてはちょん切っちゃう刑は必要じゃないか、なんて思ったことを思い出しました。
ではまた。